Monday, April 15, 2013

Red, blue, white, black and yellow? A long article on the meaning of the colors in the book


photograph: http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ellsworth_Kelly_-_Red_Yellow_Blue_White_and_Black_-_Google_Art_Project.jpg

【特別編】村上春樹著『色彩を持たない多崎つくる』の色彩――「世界のユガミ」問題

建築&住宅ジャーナリスト 細野透
2013年 4月15日

アカ、アオ、シロ、クロの世界

 村上春樹氏の新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)を一気に読んだ。その最大の特徴は、多崎つくるの「色彩」を、最後まで明かさなかったこと。これは、いわば「読者への挑戦」である。私は、「色彩の謎」を解き得たと確信している。
   物語の原点となる舞台は、名古屋の高校に通う五人の同級生がつくる、居心地のいいコミュニティである。
 赤松慶─アカ、男性。
 青海悦夫─アオ、男性。
 白根柚木─シロ、女性。
 黒埜恵里─クロ、女性。
 多崎つくる─色彩を持たない、男性。
 アカ、アオ、シロ、クロ。そして、色彩を持たない多崎つくる。この五人のコミュニティをうまく動かすためには、多崎つくるは、本来、「ある色彩」を持たなければならない。
 色彩にはいろいろなグループ分けがある。
 一。光の三原色。赤、青、緑。
 二。古代日本の四原色。赤、黒、白、青。
   それぞれ「明」「暗」「顕」「漠」を意味する。
 三。五色。赤、青、黄、白、黒。
   これには、陰陽五行説の五色と、仏教の五色がある。
 四。虹の七色。赤、橙、黄、緑、青、藍、菫(紫)。
 これを、「アカ、アオ、シロ、クロ、多崎つくる」と比較すると、多崎つくるが持つ色彩の候補は、「五色」のうち「黄(キ)」に絞られる。

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